新型コロナウィルスの世界的な流行が始まったのが今年(2020年)の3~4月だったと思いますが、この前後で世界のビジネスは大きく変わりました。今回はこの変化で浮上した、タイで儲かる「意外な商売」について書いてみます。
今回の「商売」とは、企業が大金を投じて地元企業と合弁会社をつくるようなものではありません。タイ移住者が少額資金でパートナーにまかせて始められるような現実的なビジネスの話です。
時代は飲食!
そうです、先に書いてしまいましたが「タイで飲食店」、これが現在リスクがほとんどなく、うまく行けば凄いリターンが期待できるビジネスです。もちろんいくつかの条件はありますが、そのハードルは激低と、かなりおいしい話です。その前に過去の話を一つ。
確か、以前このブログだったか、ツイッターだったか忘れましたが、「タイで飲食は絶対にやらない方がいい」と書いたことがありますw
というのも、私が知る限りですが、タイで日本人(個人です)がやる飲食店の多くは、初期投資が大きく、固定費が高く、そして薄利、または高価過ぎ(価格の割に商品が低スペック)だったからです。投資額が大きく、毎月多くの経費が発生し、しかも売上額は低いでは、正直失敗しないほうがおかしいですよね。
なぜこれが2020年になって変化したか?ですが、今のタイの飲食の場合、この理由に当てはまらない店をかなり簡単に始められるようになったからです。
ビジネスの鉄板失敗パターン
これも以前このブログに書いたことですが、ビジネスで失敗する鉄板パターンについて少し説明します。
開店資金が大
運営資金が大開店資金が大というのは、
タイで商売を始めたい!今なら鉄板級のビジネスがあります より
・店舗を借りる権利金等が高い
・内装費が高い
・備品購入費が高い
・仕入れが高い
運営資金が大というのは、
・家賃が高い
・仕入れが高い
・人件費が高い
以上は2019年8月にこのブログに書いた事ですが、あてはまる業種でいうと、飲食とマッサージが代表的です。そんな最悪レベルだった飲食業が2020年9月にどう変わったか?
まず開店資金。
店舗を借りる権利金は必要無し、もしくは激安の物件を借りればいい。✱詳しくは後ほど
内装費はほとんど必要ない。こだわりたいなら、無理のない範囲でこだわればいい。
備品購入費は以前とあまり変わりませんが、タイの飲食用品は中古などが豊富に出回っているので、ちゃんと探せばそもそもそんなに高いものではありません。
仕入れは変化なし。
次に運営資金。
家賃は要らない、もしくは激安物件でOK。
仕入れは同じですが、人件費は大幅に縮小可能です。
変化したのは「場所」と「空間」
次に具体的な運営方法です。
もうおわかりの方が多いと思いますが、具体的な運営方法はデリバリー主体にすることです。
コロナ以前の飲食店の成功条件といえば、好立地、おしゃれな空間(内外装)、そしてもちろん美味しい料理でした。 飲食店なのでおいしいのは必須ですが、コロナ後で変わったのは、好立地とおしゃれな内外装が不要になったことです。
変わったというか、まず「好立地」はデメリットと言えるほど今では意味のないものとなりました。まあ、これはタイがいつか以前のような生活に戻れば、好立地がメリットに返り咲くと思いますが、個人的には世界が完全に以前のように戻ることは無いと考えています。
なぜ今のタイで好立地がデメリットかというと、もちろん好立地=高額賃料だからです。今後は以前のように人気の飲食店でも並ぶほど混雑するのは稀になるはずです。集客力が落ちた場所に高い賃料を払う人はいません。全てとはいいませんが、ブランディングと味が完全な店以外は街中では生き抜けないと思います。
賃料が高くても、デパートやスーパーのフードコートなどは相変わらず集客力が高いので、勝負になると思います。ですが、デパートの賃料はやはり高く、いろいろとコストも掛かりますので、郊外のデリバリーのほうが大きな魅力を感じます。
また内外装のこだわりも、以前ほど重要では無くなったはずです。景色が良いと言うのはメリットですが、それだけでは以前の客足は期待できません。ここも、ずば抜けた内外装+高次元の味、そして来客は少人数、だが予約が取れないというプレミアムなお店が勝ち残る気がします。もちろんこの手のお店の料金は、桁外れに高額でしょう。
これは私の予測ですが、これからのタイの街中の飲食店は、ファミレス的な適度な格安料金の大規模店か、こだわりの高級店かの2極化すると考えています。要は大資本か、相当な腕を持つ人でないと生き残れないだろうということです。
ですが、これは市街地の話。郊外はまるで様相が違います。
コロナで大躍進した企業
これも、もうおわかりですね。コロナで業績を一気に伸ばした企業の代表といえば、フードパンダ、そしてグラブフードです。私はチェンマイ郊外に住んでいるので全く使いませんが、街近のコンドなどに住んでいる友人たちは、1日3食パンダも普通だそうです。
確かに車で街に行くと、ピンクのパンダバイクを大量に見ます。グラブも凄いですよね。あれだけの数が走っているのは、タイ人の多くが利用しているという事になります。当たり前ですが、デリバリーなら感染リスクは少なく、わざわざ渋滞の中運転していく手間も省けます。バンコクもそうですが、チェンマイ市街地の渋滞も絶句するレベルです。多くの人がパンダとグラブに手が伸びるのは必然でしょう。
またタイはデリバリー料金も格安なので、パンダやグラブを使わない理由が無いのです。ですが、これは街の話。郊外は違うんじゃないの?と思いますよね。ですが、郊外に住んでいる私が、なぜパンダを使わないのか? これこそがビジネスチャンスです。
ビジネスチャンスは郊外に
私が普段、グラブやパンダを使わない理由はシンプルです。それはほとんど店がないからですw
そうなんですね、うちはチェンマイ市街地から3~40kmのところですが、デリバリーをやっているお店が、ピザ屋とケンタッキー(KFC)、それとカオマンガイやガパオの店くらいしか無いのです。
私の場合、ピザは自分で焼きますし、フライドチキンも自分で揚げます。ガパオやカオマンガイは、家から歩いて2分くらいのところにある小さな市場で売っているし、自分でも作れるのでパンダを利用する理由がないのです。
ですが、もし和食のデリバリーやハンバーガー、サンドイッチ、インドカレー、シーフードのお店があれば100%利用します。もちろん美味しくなければダメですが、その代わり多少高価でも確実にそれなりの頻度で利用するはずです。
ピザ屋も美味しければ利用すると思います。ただ、うちのデリバリー範囲にあるピザ屋は「ピザハット」なのですが、どうもここのピザはあまり好きになれません。*タイの場合
別にナポリスタイルの本物で無くてもいいですが、日本のピザーラやドミノピザレベルなら週一くらいで頼むのではないでしょうか?
タイ人の生活レベルは右肩上がり
でもタイ人がそんなの食べるか?ちょい高いものなんて頼むかな?
ここでこういう疑問を持つ人は少なからずいるはずです。ですが、これもほとんど問題ないと考えています。うちの近所のタイ人は、皆わりといい仕事をしていますし、それなりにいい暮らしをしています。これは別にうちの近所に限った話ではありません。
チェンマイ郊外の人たちは、ほとんどの場合もともと土地を持ってる場合が多いです。タイの不動産価格は長期上昇傾向にあり、土地の一部を売って家を建て車を買い、新たにさらに郊外の安い土地を買う。10年~ほどすると、またこの土地が値上がりし・・という事を多くの人がやっています。しかもこれをやっているタイ人は30~50代が多く、基本的に大企業や役所などの堅い仕事に就いています。
よくアメリカ人は投資で儲けるという話がありますが、アメリカも一部の富裕層を除くと、株などの金融商品で儲けを出している一般人はほとんどいません。アメリカも購入した家・土地が値上がりし、それを売却しその金額の一部で郊外に家を買うというのが普通です。そしてタイと同じ様に、それがまた値上がりすれば・・という錬金サイクルがあります。
また、なんとなく街中に住んでいる人のほうが、郊外の住民より食に金を使うというようなイメージがありますが、そんな事も全然ありません。
エリアの下調べは不可欠
タイもエリアによっていろいろな特色があります。なので、エリアの下調べは確実に行うべきです。
とはいえ、エリアはそれほど重要ではないと思います。なぜならチェンマイの郊外を見ていると、どこも大きく変わらないからです。
ただしシビアに見る必要がある部分もあります。それは電気・水道・インターネットなどの環境が整っていることです。これはかなり重要です。特に停電の頻度は知っておくべきでしょう。ということで、実際に住んでみることが最高の下調べになります。
自宅店舗が可能ならリスクは激低
自宅を店舗にする、これが可能ならこの商売は一気に有利になります。または、自宅近くに土地を持っているとさらに良いです。これなら、ここで食べることも可能になります。後で書きますが、店内での飲食が可能なら、売上を伸ばす大きなポイントになります。
ですが、最初はデリバリーだけで十分です。また人件費ですが、自宅でやるということは、基本的に働くのは家族だけです。はい、家賃に続いて人件費も必要なくなりました。こうなると、失敗しても損害なんて知れています。
いや、自宅や土地は無いんだ!という人でも、あまり心配はいりません。この辺りの一軒家なら、月2000バーツで探せば普通に見つけられます。古い場合でも数万円もあればmデリバリーのお店として使えるように改造できます。
昔からよくある、賃貸のお店が流行ると大家が更新をせずに自分が始めるというタイの風習がありますが、デリバリーならこれも問題なし。更新しないなら他を探せばいいだけです。空き家ならいくらでも見つかります。パンダやグラブとの提携さえ続けていれば、移転しても売上への影響は皆無です。
最後のハードル
電気・水道などの設備が整っていないと難しい、そしてあまりにも人口密度が低いと難しいですが、それ以外にもう一つハードルがあります。
そうです、何を売るか?ですね。
ここで少し私の話をしておきます。私は日本にいる頃から、タイに移住したら料理を趣味にすると決めていました。で、その通り、この2年間あらゆる料理を作り、自分で言うのもなんですが、今ではかなりの腕前になっています。
そして料理をうまく作るコツもだいたいわかりました。それは以下の4つを正確にこなすことです。
- 分量
- 調理時間
- 調理温度
- 材料を揃える
今では外食は全くしません。レストランに行くより自分で作ったほうが美味しいからです。まあ、コロナがもう少し収まったら、色々と行きたいと思いますが、とりあえず和食、中華、ピザ、カレー、ラーメン、この辺りは自分で作ったほうが美味しいです。
世界レベルは難しいですが、レストラン級の料理を作るくらいなら勉強すれば誰でも可能です。少し前にホリエモンが炎上していましたが、料理に修行は必要無いと私も思います。一度も外食産業で働いたことがない寿司職人が、自習のみでミシュランの4つ星をとったという話もありました。
寿司職人、焼肉店の店員、ラーメン屋の店員、フランス料理のシェフ、これらになるのにハーバードの卒業も、MBAも、甲子園出場経験もオリンピック標準記録の突破も必要ありません。普通に学べば、街で噂の美味しい料理は誰にでも作れるはずです。
経営の注意点
ここからは、かなり具体的な話になります。
まずパンダやグラブのシステムですが、彼らは配達、集金、マーケティングを代行する代償に、その売上の30~40%を持っていきます。日本では35%が相場ですが、最近のタイの相場は30%になっています。*エリアや業者で多少変わります
この3、40%が大きいか?ですが、もちろん数字だけ見れば大きいです。ですが、ここまで書いてきたように、従来は必要不可欠だった、高額な家賃・保証金、人件費、広告費を大幅に削減できるのです。これで30%なら好条件と言っていいと思います。ある意味、大損リスクを回避できるのですから、そのメリットは絶大です。
タイでのパンダ・グラブの集客能力は計り知れない
そして個人的に一番メリットを感じるのは広告費です。私はWEBマーケティングが専門ですので、少し詳しく説明します。
お店から見ると、パンダやグラブの取り分35%(とりあえず35%とします)は配達費だと思われがちですが、実はその多くは広告宣伝費です。
タイで出前を取る時に、日本のように出前メニューを見る人はいません。Google検索で探す人も極めて少数でしょう。コロナ前までは効果絶大だったGoogleマップ最適化(MEO)もコロナ後は勢いを失っています。
そして現在台頭してきたのがパンダやグラブといったデリバリーアプリです。パンダのアプリを使ったことのある人は、その便利さに驚いたはずです。エリアや到着時間での検索はもちろん、プロモーション、新規、ジャンル、価格帯などのあらゆる検索が誰に教わること無く使えます。年配の方でも、簡単に注文できるはずです。
また、このアプリを使った時に表示される他店のコマーシャルも効果抜群です。おっ、こんなのあるんだ!と思ったことは数しれず、そんなキャンペーンをやってるなら注文してみよう!と初めての店の注文も抵抗なくしてしまいます。
新規出店で、こういったWEBマーケティングを自分でやるとなると、どのくらいの費用がかかるか? まず自社HPをそれなりの制作会社に頼めば数十万円。SEOは安くて月20万円、リスティングで月30万円、MEOで10万円。または月30万円でコンサルを受けて、HP、ブログ、SNSコンテンツは自作するなど・・
これらは、それなりに知識があってもこの程度の費用は必要になります。アド運用やSEOは、とにかくルールの変更が多いので、それなりに信用のできる業者を選ぶ眼も必要になります。そして実績のある業者は高いです。
ですが飲食業でパンダ・グラブを使うなら、自社HPとSNS運用程度で十分です。正確には、パンダ&グラブ+スタッフブログとIG、FBの運営でOKです。あのアプリには、それほどの宣伝効果があるのです。
販売価格に気をつけて
ザッと書いてきましたが、最後に重要な価格について。
このビジネスでは、数十バーツのようなタイ料理などを売っても、高確率で挫折します。手数料の35%を考えると、最低でも1配達平均で150バーツは利益がほしいです。理想を言えば、1配達につき250バーツはほしいですね。
とすると、カオマンガイやラーメンでは厳しいでしょう。日本のラーメンなら、場合によっては1つで250バーツで販売可能ですが、その価格で売るには相当な料理の腕が必要になります。まあ日本人が食べて「うまい!」といえるレベルならありだと思います。チャーシューを工夫する、とんこつラーメンのおいしいのを作る、に成功すれば、個人的は行けそうな気がします。
ですが、1つの配達で1商品というのも少ないでしょう。街中なら普通ですが、郊外の場合は家族での注文が多いはず。ラーメンでも3杯、4杯の注文が多そうです。
まあ、ラーメンは今思いついて書いただけですが、商品の選択と価格設定は妥協なく行ってください。
また、デリバリー+店舗の販売戦略がこのビジネスの一番おいしいところなのですが、今回はあまりにも長くなってしまったので、続きは近日中に別ページで書こうと思います。
とりあえず今回は以上です。
後編はこちら→ 今タイで儲かるビジネス後編 リスクをチャンスに変える
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